銀系無機抗菌剤「アパサイダー」
化粧品用防腐剤代替品
概要
近年、化粧品による皮膚トラブルの増加から、低刺激性・低アレルギー性化粧品への関心と需要が高まっています。このことから、商品ラベルに無香料、無着色、パラベンフリー、ノンアルコール、旧表示成分1)無配合といった化粧品が注目されています。特に皮膚トラブルを起こす恐れのある旧表示成分である防腐剤パラベンはその代表的な例である。内分泌かく乱物質(通称:環境ホルモン)の作用があるとしてEUでは人体影響が注目されています2)。
しかし、防腐剤の役割は重要です。なぜなら、化粧品に対して微生物の汚染と増殖が生じると、乳化の破壊・変色・変臭等の変化をもたらします。その結果、商品価値を失うだけでなく、微生物により分解された成分が皮膚炎等の原因にもなります。
従って、化粧品には微生物汚染対策として、防腐剤や殺菌剤が配合されています。
アパサイダーは、ハイドロキシアパタイトに代表されるリン酸カルシウムに金属銀を担持させた無機抗菌剤であって、防腐剤に要求される、低濃度での有効性、抗菌スペクトルが広いこと、安全性が高いことという各条件が備わっています。
【出典】
1)昭和42年8月8日旧厚生省告示第321号
旧表示成分とは旧薬事法が改正(2001年4月1日)以前までは、ごくまれにアレルギー等の皮膚トラブルを起こす恐れがある特定成分(香料を含む103種類)だけを表示することが義務づけられていました。
現在、化粧品成分は厚生労働省の要請(平成13年3月6日付厚生労働省医薬局審査管理課長、厚生労働省 医薬局監視指導・麻薬対策課長通知)に基づき原則として全成分表示しなければなりません。
2)Commission Regulation (EU) No 1004/2014 of 18 September 2014 amending Annex V to Regulation (EC) No 1223/2009 of the European Parliament and of the Council on Cosmetic Products
特徴
1) 抗菌スペクトルが広い
2) 安全性が高い
3) 低濃度で抗菌効果あり
4) 製品の物性に変動を与えにくい
5) 製品の外観を損なうような着色・退色・変臭を起こしにくい※
6) 抗菌効果の持続性が長い
7) 耐熱性があり、広範囲の温度領域において安定
※ キレート剤(EDTA-2Na)やpH調整剤(塩酸等)の酸性成分と同時にアパサイダーAW-NやCを配合し、または含硫アミノ酸(ケラチン、システイン等)やそれらの誘導体(加水分解ケラチン、アセチルシステイン等)並びに硫黄系化合物を配合すると、変色が起こる場合があります。
製品と物性
項目 | AW-N | C |
---|---|---|
性状 | 白色微粉末、無臭 | 白色微粉末、無臭 |
耐熱性 | 1200℃ | 800℃以上 |
比重 | 約3.3 | 約3.3 |
モース硬度 | 約5 | 約5 |
平均粒子径 | 2.0μm | 0.3μm |
別紙規格 | 適合 | 適合 |
※AW-N, C共に化粧品・医薬部外品に使用できます。